フィンランドのアラビア博物館、スウェーデンのグスタフスベリ博物館は北欧ビンテージ好きの方は良くご存じだと思います。実際に行かれた方も多いでしょうし、雑誌などで目にした方もいらっしゃるでしょう。
ところで、同じ北欧のロールストランド博物館について耳にされたことはありますか?蛇足ながら、スウェーデンのロールストランドはヨーロッパで3番目に古い陶磁器メーカーで、創業は1726年、今年で288年を迎えています(最古はドイツのマイセン)。
その博物館は、アラビア博物館やグスタフスベリ博物館のように中心部から近くはなく、ストックホルムから電車で3時間半ほど離れたLidköpingという、スウェーデン最大の湖を持つ街にあります。簡単に訪れることが出来ない場所にあるので、日本からの観光で行かれる方はほとんどいらっしゃらないのでは?
以前から行きたいと思っていた、そのロールストランド博物館に思い切って時間を作って行ってきました。
小さな街のシンボルのようにそびえるロールストランドのロゴ。ここはかつてロールストランドの工場でした。2004年に工場は閉鎖し、全ての生産はハンガリーとスリランカへと移動しました。
建物は博物館だけでなく、イッタラアウトレットショップやインテリア用品店、レストランやカフェなどの複合施設になっています。
かつての工場を彷彿とさせるゲート。10年前まではここを朝夕に人々が出入りしていたのでしょう。工場閉鎖の際には約150名の従業員が解雇されたそうです。
ゲートの横の青いタイル壁には陶器で作った白いロゴがあります。青と白はロールストランドの企業カラーですね。
ゲートを通ってすぐに現れるタイルの壁画。この日は外壁の補修工事をしていたので、足場が組まれていたり、作業車が止まっていたりと、壁画について作者や年代など確認が出来ませんでした。残念。
入ってすぐの中庭のオブジェ。
博物館は入場無料。年中無休(open all the year round)とありましたが、さすがにクリスマス時期は閉まるのよね?
さて、工場が閉鎖され150名が解雇された、まさにその日に、南部の街Lund(ルンド)で最古の陶磁器店Hasselgrens(1898年~ )のオーナーLennart Hanssonが19世紀末から20世紀初頭の製品60点を寄付し、ロールストランド博物館が始まりました。
上の写真は1700年代で、ここら辺は1800年代かなあ。実は書き写すのが大変なので、展示資料を写真に撮ったのですが、ピンボケで判別がつかないのです(ちなみに撮影は禁止されていないようです)。
古いものだけでなく、比較的最近の製品展示もあります。
この辺りは、フクヤで扱っている年代ですね。当店で販売したものが何点もありました。
さて、この導入部分から更に奥に入ると、いよいよトップの写真のプレートを飾った壁が現れます。
壁の周辺の展示に見覚えのある花のオブジェ発見。そう、2011年にルンドで買い付けたエリンギ!
買い付けたときにサインからInger Persson(インゲル・ペーション)作とは分かったものの、詳細が分からなかった作品です。資料がピンボケで判別できなかったものの、これだけは知りたかったので、帰国後ロールストランドミュージアムに問い合わせました。数日後このように返事が来ました。
「作品名はFira (祝賀)。Inger Perssonによる1969年のものです」
一つすっきりしたところで、続く。
ミタ
連載するほどの物ではない気もするのですが、写真が沢山あるので、3回くらいに分けます。次はアートピースと工場の作業編(の予定)。
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