その昔、ホームステイしていたイギリスで、ハウスメイトはヴェネツィア近く出身の北イタリア人でした。
イタリア人らしく、食にはこだわりがあり、ステイ先で出される料理にはかなり不満があったようです。サラダにドレッシングが出されれば「イタリアではドレッシングを使わない。お酢とオイルと塩コショウを自分でかけて食べるんだ」とばやき、スパゲッティミートソースが出されれば「ちょっとごめん」といわゆるイギリスの食パンを棚から取り出し「イタリアではパスタはパンと食べるんだ。パンと言ってもこんなのじゃないんだけどね」と溜息をつきます。
関西風に言えば「面倒くさいやっちゃなあ」と感じていたのですが、パスタはパンと食べる、というのが随分と印象的でした。炭水化物に炭水化物は何だか変な感じもしますが、最後にソースをすくってしまうのにパンは確かに合理的。
まあ、そんな事を思いながら、パスタにパンを添えて。パンは水をトマトジュースに変えて中にチェダーチーズを入れ、上から粉チーズをかけて焼いた”イタリア風味”です。
と、なぜ突然イタリアかというと、写真に使っている茶の小花模様のシリーズFaenza(ファエンツァ)に話をつなげたかったので。
写真はアラビアのFaenzaサービスプレートとFaenzaスーププレートです。
ファエンツァはヴェネツィアのあるヴェネト州の隣、エミリア=ロマーニャ州の一都市。マジョリカ陶器で有名で、ファエンツァ国際陶芸美術館は世界有数の陶芸美術館として知られています。1938年にファエンツァ国際陶芸展が創設され、今も世界的に権威ある賞として存在しています。
1970年にPeter Winquist(ペテル・ウィンクヴィスト)がデザインしたEHモデルのテーブルウェアは、ファエンツァ国際陶芸展で金賞を受賞。そのため、EHモデルにはファエンツァの名前が付けられました。
そのEHモデルにかわいらしい小花模様をInkeri Leivo(インケリ・レイヴォ/デザイン当時の結婚前の姓でInkeri Seppalaと記される場合も)がデザインしたものが、このFaenzaシリーズです。
ちなみに、Faenzaはモデルにつけられた名称なので、ペテル・ウィンクヴィスト自身がデザインした、黒のラインと黄のラインのシンプルな物もファエンツァと呼びますが、ファエンツァと聞いて頭に浮かぶのは、むしろこの小花模様の方かも知れません。
愛らしい中に落ち着いた雰囲気があり、季節を問わずに使える人気のシリーズです。
ミタ
写真の茶のほかに青もありますが、最近なぜか青が入りにくくなりました。