動物や子どもの可愛らしいフィギュアで知られているスウェーデンの作家、リサ・ラーソン(Lisa Larson)ですが、珍しくグスタフスベリ時代にティーカップ&ソーサーを1種類デザインしています。その同じフォルムには2種類の絵付けがされ、それぞれJosefin(ヨセフィン)とMatilda(マチルダ)と名づけられました。
写真はMatilda(マチルダ)の方です。ぼってりとした丸みを帯びたフォルムが彼女の得意としたフィギュアを思い起こさせます。
何で読んだのか記憶がおぼろげで、うろ覚えなのですが、インタビューでリサは食器デザインは得意でなく、あまり売れなかった、といったコメントをしていたような気がします。
けれども、このマチルダシリーズは1962年から1972年まで10年に渡って製造されただけでなく、2001年に復刻もされていますので、人気が無かったなんてことは無いのでしょう。
復刻については手元の2004年に発売されたリサの作品集に記載があるので、少なくともその頃までは作られていたのでしょうが、今はそれも製造が終了しています。
詳しい資料を見つけることが出来ず、良く分からなかったのですが、写真のマチルダは60年代のものではなく、復刻ではないかと思っています。
というのも、バックスタンプに1960年代から1973年まで義務付けられていた品質を示す「VDN」マークが無いからです。VDNマークについては以前少し書きましたので、下記リンク先をご参照下さい。
→555の謎
リサは食器は得意でなかった、というよりも、対象物を自由な発想そのままにユニークなフォルムで作り上げる彼女にとって、規制が多く自由度の限られている食器の世界にあまり興味が持てなかったのかも知れません。
このカップは本日アップ予定です。そんな限られた条件のなかで、彼女が作り出したリサらしい遊び心の感じられる作品をどうぞご覧下さい。
ミタ
洋食器のカップ&ソーサーのデザインの世界では”持ち手”をどうするかが課題の一つらしいです。