フィンランドの美しい60年代カラーガラスタンブラー

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買い付けレポートが終了していませんが、今回フィンランドで買い付けたカラーガラスのタンブラーを先にご紹介します。
買い付けたのはフィンランドのガラクタから珍品まで何でもありのアンティークショップ。最近はネットの普及で情報が簡単に手に入るようになったため、いわゆる”掘り出し物”に出会う事は激減しているのですが、ここはまだ私の立場からいうと聖地のようなお店です。
ちなみに、ここで一番の珍品と思ったのがロールストランドのKarnevalコーヒーカップ(1972-75)が素焼きで絵付けした状態、つまり釉薬を掛けて焼成する前の段階のものでした。いったい誰がどういった経緯で未完成カップを持ち帰ったのか?内部の犯行(?)としか思えません。
さて、そんなお店ですからこのガラスタンブラーも特に説明もなく置かれていました。その日の店番は20代半ばと思われる息子。遊びに行く約束でもしているのか、外では友達が車のエンジンかけっぱなしで待ってます。当日の気温はマイナス。白く立ち上る排気ガスを気にしながらの買い付け。
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カイ・フランクがデザインしたNuutajärvi Kartio(ヌータヤルヴィ カルティオ)の古いものかと思ったのですが、帰国してよくよく底を見ると何だか違う。
カルティオのすべらかな仕上げとは違いカットしてあります。
もしかして、こういった仕上げをした時代もあったのかと色々調べたところ、現在も作られているチーズViolaのノベルティとして60年代に作られたものではないかとの結論になりました。
ノベルティにありがちなことですが、メーカーは判然とはせず、ヌータヤルヴィとの説もあれば、リーヒマキガラスとの説もあります。また、少なくとも4種類はフォルムのバージョンがあったので、それぞれが同じメーカーとは限らないとも。
いずれにしても、年代とフィンランド製であることが分かったので、安心しました。こちらは色の組み合わせが素敵なので、このまま4個セットで販売予定です。
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さて、買い付けレポートで少し書きましたが、フィンランド国立ガラス美術館に行って、主席キュレーターのカイサ・コイヴィストさんにお話を伺ってきました。
きっかけは、60年代に活躍したデザイナー、タマラ・アラディンについて詳しい資料を見られないか、とコンタクトを取ったことです。すぐにコイヴィストさんから返事があり、資料ばかりか質問があれば直接答えると書かれていて心臓が縮む思いでした。
主席キュレーターと言えば館長クラスの人です。アホがばれては大変と、お会いする前にタマラ・アラディンばかりか、フィンランドガラスの歴史について数日かけて暗記(勉強ではなく暗記と言うのが学生時代を彷彿とさせるというか何というか)。
コイヴィストさんは大変に気さくなお人柄で、お忙しい中私の質問にも言葉を選んで丁寧にお答えくださいました(事務デスクの上に大量の書類が拡げられていて机の面が見えない状態!)。
また、話は主題のアラディンばかりでなく、フィンランドの暮らしとガラスについて、北欧のガラスの過去から現在抱える問題についてと幅広く、今はどうやって整理していいのか分からない状態です。
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質疑応答のあと、館内を自由に見学して写真も撮らせていただきました。フィンランドのガラスの歴史が分かる、圧巻の展示。これはカイ・フランクの作品などが飾られた棚。これらの話も少しずつご紹介しますね。
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ご興味があれば是非美術館に足を運んでください。もし資料室の閲覧が希望でしたら予約をすれば可能です。
フィンランド国立ガラス美術館- The Finnish Glass Museum
ミタ
最近の日本ではネットなどで情報をシェアする人のこともキュレーターと呼ぶと聞きました。本来は大変な名誉職で簡単になれるものではありません。美大出身者として、この拡大解釈にはあまりいい気持ちはしません。

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