6月北欧ひとり旅(5)3日目は入場料無料の国立美術館へ!

スウェーデン3日目は宿泊していたAirBnBの宿主さんの紹介でご近所の方にスウェーデン伝統菓子のセムラとルッセカットの作り方を教わりフィーカを楽しみました。

レシピなしの大胆なお菓子作りの体験については下記のリンク先からどうぞ(別ブログが開きます)。

お菓子作りとフィーカの後に向かったのはスウェーデン国立美術館(Nationalmuseum)。毎週木曜日の17時から入場料が無料になるとサイトにあり、ちょうど時間も良かったので、このタイミングを狙わない手はありません。

地下鉄に乗ってKungsträdgården駅に到着。ストックホルムの地下鉄は「世界一長い美術館」と呼ばれるほどで、各駅ごとに異なる装飾がされています。この駅は、かつての宮殿をテーマにしているそうで、古代ローマの遺跡に迷い込んだような彫刻や柱が飾られています。

それらが置かれている構内は、モダンでカラフルな幾何学模様が壁・床・天井に施され、異なる時代の装飾を組み合わせている何ともアーティスティックな空間。駅に着いた瞬間から美術館へ向かっているという気持ちが高鳴ります。

駅を出て南へ進むと、目の前にはキラキラと輝く運河。真っ白な観光船がずらりと並んで係留されていて、大勢の人たちが短い夏を楽しむために行き交っていました。

運河に沿って歩いていくとグランドホテルの前を通過。

ホテルのテラスではお酒を飲みながら夏の長い夕暮れを楽しむ人たちがいて、いかにも北欧の夏らしい解放感です。

そうして歩き進むうちに、スウェーデン国立美術館が見えてきました。

ちょっと早く着いてしまったので、入口でほかの人たちと一緒に17時になるのを待ちます。

やがて17時を知らせる鐘の音が鳴り、いよいよ入場の時間です。中へ足を踏み入れると、まず目に飛び込んできたのは大きなアーチを描く天井と、壁一面に広がる壁画。スウェーデンを代表する画家カール・ラーションによる『冬至の生贄』で、北欧神話の伝説を題材にしています。思わず立ち止まって見とれてしまいました。

後から知ったのですが、この絵画は当初「美術館にふさわしくない」と展示を拒否され、転売を繰り返した末に日本人コレクターの手に渡り、最終的に美術館が買い戻したという数奇な運命を辿ったそうです。このときはそんなことも知らず、ただただ絵の迫力にうっとり。自然とこれからの展示への期待も膨らんでいきました。

学生時代に西洋美術史の教科書で見覚えのある(実は美術系の高校出身です)ルーカス・クラナッハ、エル・グレコ、セザンヌ、ブーシェの作品が並んでいて、「おお、ここにあったのか」と感慨ひとしお。けれども一番驚いて足が止まったのが、この肖像画。

マリー・アントワネット!

この絵画はスウェーデン人画家によって描かれたもので、当時「贅沢三昧」と悪評が立っていたマリー・アントワネットを、二人の子どもの優しい母親として表現し、イメージを回復させる狙いで描かれました。けれども、あまり威厳が感じられない姿にマリー自身は気に入らず、批評家の評価も散々だったそう。結局そのままスウェーデンに送られたのだとか。

そのためか、私はこれまで見たことのない肖像画でしたが、それでも一目でマリー・アントワネットだと分かるのは、画家の力量の確かさではないでしょうか。

もちろん、それ以外のスウェーデンの画家たちの作品展示にも力が入っています。一番感銘を受けたのは、壁画作成と同じカール・ラーションによる『王女と羊飼いの少年』。写真では到底伝わらないのがもどかしいほど、なんとも美しく、そして力強い作品でした。テクニックの巧みさだけでなく、心を打つ表現力は、思わず遠くから、近くからと角度を変えて何度も見入ってしまいました。

時代は進んで、20世紀の作品の展示もあります。様々な暮らしを彩った北欧デザイナーたちによるプロダクトデザインが並ぶ会場には、スティグ・リンドベリによるテキスタイルも下げられていました。おそらく1950年代のものだと思いますが、今見ても十分に通用するセンスに感動します。

そうそう。ちょうどスティグ・リンドベリ展が東京会場を終え、大阪へ巡回してきました。本日(9月10日)からスタートしています。実は私も明日見に行く予定。詳しい展覧会情報は下記リンクからどうぞ。
https://www.stiglindberg-exhibition.jp

また、東京の国立西洋美術館では『スウェーデン国立美術館 素描コレクション展』が9月28日まで開催中です。私は行けそうにありませんが(東京は遠い!)、今月で終了ですので、お近くの方はぜひ足を運んでみてください。詳細は下記リンクからどうぞ。
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2025drawings.html

どちらの展覧会も、それぞれの角度から「北欧の美」に触れられる貴重な機会です。実際に作品を目にすると、写真や資料では伝わらない空気感や時代の息づかいを体感できるはず。秋のお出かけにいかがでしょうか。

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