どっちに見える?

「芸術の秋」と言うことで、アートの話を少し。

0922variant.jpg

さて、さて。この写真はArthur Percyデザイン、Gefle Variantシリーズのコーヒーカップです。
単純な直線と曲線だけで構成され、シンプルでありながら思わず引き込まれるこのデザインは、アールデコ調を連想させます。
アールデコ(Art deco)とは20世紀前半、1920年代から30年代に流行したデザイン様式で、直線や円弧を使った幾何学的なパターンが特徴。視覚的なユニークさで知られています。

建築で代表的なのは、1930年に建てられた(つまりその時代の最先端)ニューヨークのクライスラービルディングの装飾。皆さんも何度か目にしたことがあるのではないでしょうか。

これです(5月にN.Y.に行ったときに撮ってきました。)

Chrysler Building.jpg

この装飾、天地をひっくり返して見てください。Variantの装飾そっくりですよね。
VariantをデザインしたArthur Percyは1930年は44歳。アールデコの装飾を得意とした人で、1960年に作られたVariantにもその影響が見て取れます。

ところが不思議だったのは、Variantという名。これは英語でも「変形、変異」と言う意味になります。
この規則的なパターンのどこに変化が?と最初は不思議だったのですが、じっと見ていると、あ、もしかして「図と地の関係」のことかも、と。
「図と地の関係」の有名なものには「横顔と壺」のパターンがあります。

これですね。(描いてみました)

zutoji.gif

この図は、色の濃い部分を地とすると「壺」が、色の薄い部分を地とすると「横顔」が見えてきます。一種の錯覚ですね。
Variantのパターンもまた、白い部分を図とするか地とするかで見えてくるパターンが違ってきます。
白を図とすればくさび形が、地とすれば青い半円形が見えます。
そう、図が「変異」して見えるのです。
見る人を幻想の世界にいざなうコーヒーカップ。
芸術の秋にぴったりではないでしょうか。
ミタ

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